高校の進路選びの中で一定数いるのが「スポーツ」による進路選択というもの。運動やその競技が得意だからこその選択になると思いますが、私としてはそれだけでの選択はあまりおすすめしたくありません。
今日は私の高校受験でのことを振り返りながら、スポーツによる進路選択のリスクや注意点についてお話したいと思います。
中学時代の私もスポーツだけで進路選択を考えていた
中学校時代の私は陸上競技に注力しており、市の大会ではずっと1位を取り続け、県大会でも上位入賞していました。そのため当時の私はこれから陸上競技にもっと力を入れ、本格的に打ち込みたいと思っていました。
高校選びで陸上競技が強く・盛んな高校を志願するようになったのは必然的な流れでしたし、何の疑いもなく高校を決めようとしました。父からの1つの助言を受け入れていたこと以外には・・・
早々に怪我で挫折。選手生命を失うことに
無事高校受験を突破し、中学時代よりも本格的に陸上競技に打ち込むようになりました。指導方法も、設備も、部員のモチベーションも、すべてが中学時代とは比べ物にならないほど高い環境は、とても刺激的なものでした。
それと同時に練習も遥かに過酷で、元々持っていた悪い癖も影響し半年ほどで怪我をしてしまいました。最初は「すぐに治って復帰できるだろう」と思っていましたが、医師の診察を受けると選手生命に影響するほども怪我・・・。
スポーツで高校という進路を決めた16歳の私には、その意味を根底から見失う非常にショックな出来事でした。
「スポーツで生きていけるなら生きていきたい」
その思いと選んだ道は無きに等しいものとなり、初めて「挫折」という言葉の意味を身をもって知ることとなりました。
すべてを救ったのは受入ていた1つの“約束”
「もう陸上もできない身体なのに、なんでこの高校に入ったんだっけ?」
退部を余儀なくされたあとはずっと、そんな思いが頭の中をグルグルしていました。ただ、それと同時に陸上に打ち込んでいた時間がぽっかりと空き、冷静に今の実情を受け入れ、これからのことを考えるようになりました。
そうした中で進路選びの最終決定の際、「絶対に守れ」と固く誓った父との1つの約束を思い出しました。
“学業にも打ち込める環境であること”
「スポーツに打ち込むことは大いに結構。でも、学業がしっかりとできる高校じゃないとダメ。」いわゆる学問とスポーツの両立できるかということです。
身体を酷使する競技に打ち込む以上、どんな種目であっても大なり小なりのリスクはあります。それは第一線から退かなければならなくなることや、私のように選手生命を失うことも含まれます。
今まで熱中し、本気で打ち込んでいたものを失うことというのは言葉にできないくらい辛いものがあります。でも、生きていく以上はそのスポーツの道が無くなった場合に、次に熱中できる環境かどうかもしっかりと考えないといけません。私を救ったのは、この父との約束そのものでした。
ホントの希望+αの進路選びはとても大切。そしてその準備も
私の塾では、こういった実体験も含めて進路指導や相談を行っています。将来の夢を持つこと、やりたいことを叶えられる進路を選ぶことはとても大切ですが、それを失った場合のリスクや道もきちんと描けるようにすることはとても大切です。
しかし、受験生本人の生徒にとっては、その部分はなかなか理解できないもの。ここは人生の先輩である大人がしっかりと配慮していく必要があると思います。
そして当然、そういった様々な進路の選択肢を広げるためには日々の学習が影響します。「ここしか入学できそうにない」という状況になってから、この話が出たところでそもそも意味がありません。
どんな進路選びであっても、それに含まれるリスクは周りの大人たちからしっかりとアドバイスを生徒に与えましょう。(もちろん、頭ごなしなあれはダメ、これはダメは論外です。)そしてそれには進路の選択肢のゆとりがあってこそ。できれば中学に入るくらいから、そのあたりのことも配慮して「勉強の必要性」をお子さんと話し合う機会を設けると、スムーズな学習につなげられると思います。
「こんなはずではなかった」
まずは進路の選択肢が無い・・・とならないように、早め早めの学習プランを検討しましょう。転ばぬ先の杖を教えられるのは、お子さん本人の意識も大切ですが、それを導くのはやっぱり大人ですから。